入れ歯の調整が必要なケースとは?必要なケース4つと対処方法を紹介
「入れ歯の調整が必要なケースは?」
「入れ歯が合わないときの対処法はある?」
「入れ歯が原因で健康を損ないたくない」
上記の疑問をお持ちの方は、入れ歯のズレや不適合によって自信を持って人と会話できず、食事も楽しめないためお悩みなのではないでしょうか。
一方で、すでに入れ歯のズレや不適合で痛みや食事のしづらさを感じている場合は、調整が必要です。
本記事では、「入れ歯の調整が必要なケース4つと対処方法を紹介」を紹介します。
入れ歯のズレを調整しないと起こるリスクや入れ歯を調整の一般的な流れまで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
入れ歯が合わない場合は調整が必要
入れ歯のズレや不適合で痛みや食事のしづらさを感じる場合は、調整が必要です。
入れ歯の不具合は、顎の骨や歯ぐきの変化、入れ歯自体の摩耗などが原因です。
歯科医師は、入れ歯のバネの調整や、床部分の再適合(リベース)をおこない、フィット感を改善します。
長期間使用した入れ歯は、人工歯の摩耗やバネのゆるみが生じるため、新しい入れ歯の作製が必要な場合もあります。
入れ歯の不具合を感じたら、自己判断で調整せず、早めに歯科医師に相談しましょう。
一方で、入れ歯の入れ方と外し方に誤りがあると、入れ歯のズレや不適合が起こる原因にもなります。
入れ歯の入れ方と外し方については、下記の記事で解説しています。
詳細は「入れ歯の入れ方と外し方は?総入れ歯と部分入れ歯の着脱方法を紹介」をご覧ください。
入れ歯の調整が必要なケース4つ
入れ歯の調整が必要なケースは、以下の4つです。
- 入れ歯で噛めない
- 痛みや不快感がある
- 摩耗や変形している
- 口腔内の変化
それぞれ解説します。
入れ歯で噛めない
入れ歯が合わないと、噛む力が十分に伝わりません。
食事中に不便を感じる場合があるため、入れ歯の調整が必要です。
入れ歯の調整は、歯科医師が患者の口腔内の状態を確認し、適切な処置をおこないます。
調整により、入れ歯の適合性が向上し、食事を快適に楽しめます。
痛みや不快感がある
入れ歯が歯ぐきにあたって痛い場合、以下のケースが考えられます。
- 内面が強くあたっている
- 噛み合わせが原因で動いている
まず、上記のどちらが原因で痛みが発生しているのか確認が必要です。
原因の特定が必要な場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
摩耗や変形している
入れ歯は長期間の使用により摩耗や変形が生じると、適切な機能を果たせません。
人工歯の摩耗は、噛み合わせの不調を引き起こします。
結果的に、食事中の不便さや顎関節への負担増加につながります。
また、入れ歯の変形は口内の組織に不均等な圧力をかけ、痛みや炎症を引き起こすケースもあるため注意が必要です。
問題を放置すると口腔内の健康状態が悪化するため、定期的な歯科医院での検診が推奨されます。
口腔内の変化
口腔内は、時間の経過とともに変化し、歯ぐきや顎の骨の形状が変わる場合もあります。
そのため、以前は適合していた入れ歯が合わなくなるケースもあります。
入れ歯が合わないと、食事や会話に支障をきたし、口内の組織を傷つけるリスクも高いです。
さらに、顎の骨の変化は入れ歯の安定性を損ない、脱落の原因となる場合もあります。
口腔内の健康を保つためには、定期的な歯科検診と入れ歯の調整が欠かせません。
入れ歯が合わないときの対処法
入れ歯が合わないときの対処法は、以下の5つです。
- 歯科医師に相談する
- 入れ歯安定剤を使用する
- 定期的に歯科検診を受ける
- 新しい入れ歯を作成する
- 口腔内のケアをおこなう
ひとつずつ解説します。
歯科医師に相談する
入れ歯が合わないと感じたら、まず歯科医師に相談するのが最善の方法です。
歯科医師に相談すると入れ歯の適切な処置ができるため、快適な使用感を取り戻せます。
また、入れ歯の安定性が向上し、食事や会話がスムーズになります。
一方で、自己判断での調整は、入れ歯や口内の状態を悪化させるリスクが高いです。
入れ歯の不具合を感じたら、早めに歯科医師に相談し、適切な対処をおこないましょう。
入れ歯安定剤を使用する
入れ歯安定剤は、入れ歯のズレや不快感を一時的に緩和するための製品です。
主に以下の4種類があり、状況に応じて選択できます。
- クリームタイプ
- ふりかけタイプ
- シートタイプ
- クッションタイプ
使用前には入れ歯を清潔にし、適量を塗布してから装着します。
ただし、安定剤はあくまで一時的な対処法です。
長期間の使用は、入れ歯や口内の状態を悪化させる可能性があるため注意しましょう。
定期的に歯科検診を受ける
入れ歯の不具合を未然に防ぐため、定期的な歯科検診が推奨されています。
歯科医師が入れ歯の状態や口腔内の変化を確認し、必要に応じて調整や修理が可能です。
入れ歯のフィット感や機能性を維持できるため、快適な使用が実現できます。
また、定期的に口腔内を確認することで、ほかの歯や歯ぐきの問題の早期に発見が可能です。
定期検診は、入れ歯の寿命を延ばし、全体的な口腔ケアにもつながります。
新しい入れ歯を作成する
入れ歯がどうしても合わない場合、新しい入れ歯の作成が推奨されます。
長年使用した入れ歯は、以下のような複数の問題が重なるケースもあります。
- 人工歯の摩耗
- バネのゆるみ
- 床の不適合
上記の状況では、調整だけでは十分な改善が見込めません。
しかし、新しい入れ歯は、最新の口腔内の状態に合わせて作られます。
そのため、耐久性や見た目の自然さの向上だけでなく、より快適な装着感が期待できます。
口腔内のケアをおこなう
入れ歯が合わない問題を解決するには、毎日の適切な口腔内のケアが欠かせません。
基本は、入れ歯専用のやわらかい歯ブラシを使用し、食後に洗浄します。
また、入れ歯洗浄剤を使用し、就寝前に入れ歯の洗浄をおこないましょう。
入れ歯を外している間は、水またはぬるま湯に浸けて保管します。
さらに、残存歯や歯ぐきをケアし、入れ歯の変形防止や清潔さを保ちましょう。
入れ歯を調整する際の検査方法
入れ歯を調整する際の検査方法は、以下のとおりです。
- 1.咬合検査
- 2.圧力検査
- 3.適合検査
- 4.動的印象法
- 5.口腔内診察
それぞれ解説します。
1.咬合検査
咬合検査は、咬合紙を使用して入れ歯の噛み合わせを検査する方法です。
患者さんに咬んでもらい、色がついた箇所を確認し、噛み合わせのバランスを調べます。
不適切な箇所があれば、入れ歯を削るなどして調整します。
2.圧力検査
圧力検査は、入れ歯の床部分が歯ぐきにどのようにあたっているのかを検査する方法です。
入れ歯の内面にペースト状の検査剤を塗り、歯ぐきへの接触具合を確認します。
検査剤が薄くなっている箇所は強くあたっている場所のため、該当部分を調整します。
3.適合検査
適合検査は、入れ歯が口腔内にどれだけフィットしているかを確認する検査方法です。
入れ歯を装着した状態で、口を開けたり閉じたりする動作をおこないます。
また、頬や舌を動かして、入れ歯のズレや浮きがないかチェックします。
4.動的印象法
動的印象法は、より精密な入れ歯の調整に用いる検査方法です。
ティッシュコンディショナーと呼ばれる特殊な材料を入れ歯に盛り付け、装着します。
日常生活での使用を通じて、口腔内の動きが印象材に反映されます。
結果的に、より自然な状態で口腔内の形状の把握が可能です。
5.口腔内診察
口腔内診察は、入れ歯の調整プロセス全体を通じておこなわれます。
歯科医師が確認する内容は、以下のとおりです。
- 歯ぐきの状態
- 残存歯の状況
- 顎の骨や粘膜の状態
- 唾液の分泌量
上記の情報をもとに、入れ歯の適切な調整方法を決定します。
入れ歯が合わなくなる原因
入れ歯が合わなくなる原因は、以下の3つです。
- 入れ歯の経年劣化
- 歯ぐきや顎の骨の変化
- 不適合な入れ歯の影響
入れ歯の経年劣化
入れ歯の経年劣化は、入れ歯が合わなくなる主な原因のひとつです。
長期間の使用により、入れ歯の材料が摩耗し、変形する場合があります。
とくに、プラスチック製の入れ歯は温度や湿度の影響を受けやすく、ひび割れや変形が生じやすいです。
また、日々の食事や会話による摩耗により、噛み合わせが悪くなり、入れ歯の適合性が低下します。
結果として、装着時の違和感や痛みが生じ、入れ歯の調整が必要になります。
歯ぐきや顎の骨の変化
年齢とともに顎の骨の新陳代謝が低下すると、歯ぐきや顎の骨が痩せていきます。
噛む刺激が顎の骨に十分に伝わらないと骨量の減少が進み、歯ぐきも萎縮します。
また、入れ歯と口腔内の形状にズレが生じ、フィット感が低下すると、入れ歯のぐらつきや痛みも生じやすいです。
定期的な歯科検診をおこなうことで、口腔内の変化に応じた入れ歯の調整が重要です。
不適合な入れ歯の影響
入れ歯が不適合のまま使用し続けると、以下の問題を引き起こします。
- 残存歯に過度な負担がかかり、健康な歯の寿命を縮めてしまう
- 歯ぐきや顎の骨に不均等な圧力がかかり、炎症や痛みを引き起こす
- 口内炎や歯ぐきの傷が原因で口腔内の健康を損なう
問題を防ぐには、違和感や痛みを感じたら早めに歯科医院を受診し、適切な調整をおこないましょう。
定期的なチェックと調整により、快適で健康的な入れ歯の使用が可能になります。
入れ歯のズレを調整しないと起こるリスク4つ
入れ歯のズレを調整しないと起こるリスクは、以下の4つです。
- 健康な歯の寿命が短くなる
- 顎の骨や関節への問題
- 口内炎や歯ぐきの傷のリスク
- 栄養吸収効率の低下
ひとつずつ解説します。
健康な歯の寿命が短くなる
入れ歯のズレを調整しないと、健康な歯の寿命が短くなります。
入れ歯はフィットしていないと噛む力が均等に分散されず、特定の歯に力が集中します。
とくに部分入れ歯の場合、残存歯に過度な負担もかかるため注意が必要です。
不適切な噛み合わせは、健康な歯の摩耗や損傷を引き起こすケースがあります。
顎の骨や関節への問題
入れ歯のズレを放置した場合、顎の骨や関節に深刻な問題が生じやすいです。
入れ歯のズレは、顎関節に過度な負担をかけ、顎関節症のリスクを高めます。
顎関節症は、以下の症状を引き起こしやすいです。
- 顎の痛み
- 開閉口障害
- 頭痛
- 耳鳴り
また、入れ歯が合わないと、顎骨の萎縮や変形を招くケースもあります。
顎の健康を維持するためには、定期的な入れ歯の調整をおこないましょう。
口内炎や歯ぐきの傷のリスク
入れ歯のズレを調整しないと、口内炎や歯ぐきに傷が生じるリスクもあります。
合わない入れ歯が口腔内で動いたりズレたりすると、粘膜や歯ぐきを傷つけやすいです。
摩擦により、痛みをともなう義歯性口内炎が発生する場合もあります。
また、歯ぐきに過度な圧力がかかることで、「フラビーガム」と呼ばれるやわらかく肥大化した状態になるケースもあります。
食事や会話時の不快感は日常生活の質を低下させるため、定期的な入れ歯の調整をおこないましょう。
栄養吸収効率の低下
入れ歯のズレを調整しないと、栄養吸収効率が低下するリスクもあります。
合わない入れ歯は、食事中にズレたり不安定になったりするため、十分に噛めません。
もし硬い食品や噛みごたえのある食品を避けるようになった場合、食事の選択肢が限られます。
また、野菜や果物などの栄養価の高い食品を避けがちになり、栄養バランスが崩れます。
十分に噛めないと消化不良を引き起こし、栄養素の吸収を妨げられるため注意が必要です。
入れ歯を調整する際の一般的な流れ
入れ歯を調整する際の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 1.問診と評価
- 2.清掃状態の確認と指導
- 3.噛み合わせの調整
- 4.フィット感の調整
- 5.定期的なフォローアップ
- 6.リラインやリベース
ひとつずつ解説します。
1.問診と評価
まずは問診と評価からはじまります。
歯科医師は、主に以下について詳しくヒアリングします。
- 現在の入れ歯の使用状況
- 不具合の有無
- 痛みや違和感の有無
- 食事や会話時の問題点
また、口腔内の状態を綿密に観察し、歯ぐきの状態や残存歯の状況を評価します。
2.清掃状態の確認と指導
入れ歯の清掃状態を確認し、必要に応じて適切なケア方法を指導します。
主に「入れ歯専用のブラシを使用した清掃方法」や「洗浄剤の正しい使い方」などの説明があります。
3.噛み合わせの調整
噛み合わせの調整は、入れ歯の機能性を高める重要な手順です。
歯科医師は、咬合紙を使用して噛み合わせの状態を確認します。
過度にあたっている部分を削るなど、均等な噛み合わせを実現します。
4.フィット感の調整
入れ歯のフィット感向上のため、入れ歯の圧力がかかる部分や痛みの感じる箇所を特定します。
必要に応じて、義歯床を削ったり粘膜調整材を使用したりして、快適なフィット感を実現します。
5.定期的なフォローアップ
入れ歯は、通常、調整後から1週間程度で再診をおこない、その後も定期的に状態をチェックします。
口腔内の変化に応じて、必要な調整をおこないます。
6.リラインやリベース
リラインは、義歯床の内面を新しい材料で作り直す方法です。
一方リベースは、義歯床全体を新しく作り直す方法です。
長期間使用した入れ歯は、口腔内の変化により適合性が低下する場合もあります。
そのため、リラインやリベースをおこなうことで、入れ歯の適合性の改善をおこないます。
【まとめ】入れ歯の調整をおこない口内トラブルを改善・解消しよう
入れ歯のズレや不適合で痛みや食事のしづらさを感じている場合は、調整が必要です。
あらためて、入れ歯の調整が必要なケースをまとめました。
- 入れ歯で噛めない
- 痛みや不快感がある
- 摩耗や変形している
- 口腔内の変化
入れ歯の不具合を放置すると「健康な歯の寿命が短くなる」「栄養バランスが崩れて健康を損なう」などの原因となるため、早めの対処が必要です。
大宮いしはた歯科では「入れ歯」をはじめ、「インプラント」や「審美歯科」など、患者さんにひとりひとりに合わせたご提案・治療をおこなっております。
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